
本記事では、このような悩みに答えます。
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この記事では、因数分解の基本のキから、公式+たすき掛けの使い方までをわかりやすく解説しています。
記事の後半では、テストで頻出する「因数分解の応用問題+解説」を8つ用意しているので、ぜひチャレンジしてみてください。
この記事を書いている私は、受験指導歴8年の現役塾講師です。
出身は岩手県で、立命館大学に進学・卒業した後、大手塾講師として200人以上の中高生の勉強相談に答えてきました。
【高校数学】因数分解ってそもそもなに?基本のキから始めよう
因数分解とは、すなわち「展開の逆」です。
展開は分配法則を使って()の無い式にすることを言いますが、因数分解は()のある式にまとめることを言います。
高校数学では1次式、2次式、3次式....と、次数のたかいややこしい問題がたくさん出てきます。
そのような問題をコンパクトにまとめてラクに解くためにも、「因数分解」は必ず習得しておきたいテクニックです。
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因数分解問題でよく使う8つの公式【暗記しなくてOK】
因数分解の問題を解くとき、覚えておくと便利な公式を8つ紹介します。
ただし、ここで全てを覚える必要はありません。
ここに書いてある公式表をみつつ、後述する練習問題を3問ほど解けば自然と頭に残るはずです。
覚えるのではなく、公式を使うことに”慣れて”いきましょう!
2次式の因数分解でよく使う4つの公式
2次式の因数分解問題のほとんどは、これらの公式を使うことで解くことができます。
特に、式の中に「x」以外の文字が出てこない場合は、①を使って解けることが多いです。
以下に練習問題を用意したので、ぜひ解いてみてください。
3次式の因数分解でよく使う4つの公式
2次式の公式も、3次式の公式も、「覚えているだけ」では、まったく役に立ちません。
例えば「$x³+3x²+3x+1$ を因数分解しなさい。」という問題。
10秒以内に答えられますか?
この問題、「$y=1$ になっている!」という点に気が付ければ、①の公式を使って簡単に解くことができるんです。
ただ、公式を丸暗記しているだけでは解けませんよね。
繰り返しになりますが、因数分解をマスターするには、たくさんの問題を解いて、公式や問題のパターンに慣れることが大切です。
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たすき掛けで因数分解する方法とコツ【パターンに慣れよう】
因数分解といば「たすき掛け」ですよね。
本章では「たすき掛けの原理」と、「具体的な使い方・手順」を、中学生でも分かるように解説しました。
という人は、以下のリンクからどうぞ。
》スキップ:たすき掛けの使い方を学ぶ
なぜ解ける?たすき掛けの原理と仕組み
まずは、たすき掛けの原理と仕組みから紹介します。
例題として、「$3x²+5x-2$ を因数分解しなさい」という問題を使います。
例えば、$3x²+5x-2$を因数分解したときの、答えが $(ax+b)(cx+d)$ だったとします。
これを式に表すと、 $3x²+5x-2 = (ax+b)(cx+d)$ 。
さらに、$(ax+b)(cx+d)$を展開すると、$acx²+(ad+cb)x+bd$となりますので、
まとめると、 $3x²+5x-2 = acx²+(ad+cb)x+bd$ ということになりますね。
つまり今回の問題は、これらの条件を満たす $a、b、c、d$ の値を見つけられれば、解けるということになります。
そしてこの「$a、b、c、d$ の値」を簡単に見つける方法が、「たすき掛け」なんです。
以下の表は、たすき掛けを行うときによく使う表になります。
今回は、すでに文字と数字が書き込んでありますね。
ここまでくれば、あとは
- かけて「$3$」になる、$ac$の組み合わせ
- かけて「$-2$」になる、$bd$の組み合わせ
- 足して「$5$」になる、$cb+ad$の組み合わせ
を順に考えていけばOK。
必ず、$a、b、c、d、$それぞれに一つの数字が当てはまります。
たすき掛けの原理・仕組について、なんとなくイメージできたでしょうか?
次の章では、実際に例題を解きながら、たすき掛けの手順を解説していきます。
たすき掛けを使おう!実践的な因数分解の解き方
では早速、たすき掛けの手順を3つに分けて解説します。
お手元に紙とペンを用意して、手を動かしずつ読み進めてみてください。
手順①:$x²$の係数と定数項に注目する
まず初めに、$3x²+5x-2$を因数分解すると $(ax+b)(cx+d)$ になる、と仮定します。
そして、以下の四項目をたすき掛けの表に書き込みます。
- $x²$の係数である「$3$」
- 定数項である「$-2$」
- 上二項目に対応する文字「$a、b、c、d$」
- $x$の係数である「$5$」
すると、以下のような表が出来上がりますね。
手順②:$ac$と$bd$の組み合わせを考える
続いては、かけて「$3$」になる$ac$の組み合わせと、かけて「$-2$」になる$bd$の組み合わせを考えます。
これなら簡単に答えが出ますね。
- $ac$ の組み合わせは「$3$と$1$」、「$-3$と$-1$」
- $bd$ の組み合わせは「$1$と$-2$」、「$-1$と$2$」
それでは試しに、$ac$の「$3$と$1$」の組み合わせと、$bd$の「$1$と$-2$」の組み合わせを、たすき掛けの表に書き込んでみましょう。
上手く書き込めましたか?
続いて、表に書いてある四則演算記号の通りに、計算してみましょう!
おや、左の2つは正解ですが、一番右の計算が合いませんね。
ということは、$ac$の「$3$と$1$」の組み合わせと、$bd$の「$1$と$-2$」の組み合わせは間違いだったということになります。
では今度は、$ac$の組み合わせはそのままに、$bd$の組み合わせを「$-1$と$2$」にして計算してみましょう!
おっ、今度はすべての計算が合いましたね!
ということは、この問題における$a、b、c、d$の組み合わせの正解は「$a=3、b=-1、c=1、d=2$」ということになります。
たすき掛けではこのように、正解が見つかるまで何度も数字を入れ替えし、適切な組み合わせを見つけます。
一見地道な作業ですが、慣れてくれば直観でスパッと解けるようになるはずです。
手順③:a、b、c、dの値を代入する
最後に$a、b、c、d$、の値を、 $(ax+b)(cx+d)$ に代入します。
手順②の計算で$a、b、c、d$、の値がそれぞれ
- $a = 3$
- $b = -1$
- $c = 1$
- $d = 2$
であることが分かっているので、それをそのまま代入すればOK。
導き出される答えは、$(3x-1)(x+2)$ となります。
たすき掛けの手順まとめ
最後に、たすき掛けの手順を簡単にまとめます。
因数分解問題に慣れてくれば、たすき掛けをいちいち意識しなくても、感覚的かつ正確に解けるようになってきます。
そのためにも、高校1年生のうちに、できるだけたくさんの問題を解きましょう!
次の章では、試験やテストでよくでる「因数分解の応用問題」を紹介しています。
少し複雑で難しそうに見える問題も、”ある知識”が頭に入っていれば、簡単に解けることも多いです。
テスト直前にこの記事をみてるそこあなた!
ぜひ、一度目を通し、時間があれば自力で挑戦してみてくださいね!
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【テスト対策】因数分解の応用問題|難しくみえて実はカンタン
早速、因数分解の応用問題を紹介していきます。
問題は全部で8つあり、それぞれ「着目するポイント」や「解き方」が少しずつ違っているので、しっかりと解説を読み込んでください。
●因数分解を極める8つの応用問題
- $x²-y²-3xz+3yz$ を因数分解しなさい。
- $x²+4x+yx-2y²+5y+3$ を因数分解しなさい。
- $x³+3x²y+zx²+2xy²+3xyz+2zy²$ を因数分解しなさい。
- $x(y²-z²)+y(z²-x²)+z(x²-y²)$ を因数分解しなさい。
- $x⁶-y⁶$ を因数分解しなさい。
- $(x+y-1)(x+y+3)-5$ を因数分解しなさい。
- $x³+2x²-4x-8$ を因数分解しなさい。
1.降べきの順が基本です
降べき順とは、因数分解をするときに「次数の高いものを左に並べる」ことです。
次数とは、掛け合わされている文字の数で、$x²$も$xy$も、どちらも次数は「$2$」となります。
問題が $x²-y²-3xz+3yz$ の場合は、$x²-3xz-y²+3yz$ といった風に整列するのが、一般的です。しかし、ここで、$z$に注目すると、$z$の次数は、「$1$」となるので、こっちから考えた方がいい場合があります。
くくれる次数の中で、一番次数の少ないものに着目します。
※あくまで「基本」であり、降べき順にしない方が解きやすい場合もあります。
ではでは、問題の解説です。
$x²-y²-3xz+3yz$
最低次数の降べき順に並び替えて、
$= -3xz+3yz+ x²-y²$
$-3z$でくくり、後ろは公式で整理すると
$= -3z(x-y)+(x+y)(x-y)$
共通因数である$(x-y)$でくくって、
$= (-3z+x+y)(x-y)$
最後に、式を整列して
$=(x-y)(x+y-3z)$
2.たすき掛けを応用します
この問題は結構な難問ですので、初見で解ける人は少ないかもしれません。
いきなりですが、問題の解説に入ります。
$x²+4x+yx-2y²+5y+3$
$x$について降べき順に整理して、
$= x²+(4+y)x -2y²+5y+3$
$-2y²+5y+3$をたすき掛けで因数分解して、
$= x²+(4+y)x +(2y+1)(-y+3)$
最後に、全体をたすき掛けで因数分解して、
$= (x+2y+1)(x-y+3)$
3段目から4段目に移るときに行うたすき掛けは、以下の通り。
3.文字が3つ以上あります
このように、$x・y・z$などの文字が3つ以上ある場合、最も次数の低い文字に注目すると良き。
この問題の場合、最小次数の$z$でくくり、[ $z$の一次式+それ以外 ]という形に整理してから、因数分解を始めます。
$x³+3x²y+zx²+2xy²+3xyz+2zy²$
$z$でくくった後、残った式を$x$でくくって、
$=(x²+3xy+2y²)z + (x²+3xy+2y²)x$
共通因数$(x²+3xy+2y²)$でくくって、
$=(x²+3xy+2y²)(x+z)$
最後に、$(x²+3xy+2y²)$をたすき掛けして
$=(x+2y)(x+y)(x+z)$
4.展開する勇気が必要です
このように、$xyz$のそれぞれが同じ位置にあるような因数分解問題。
このような場合、まずは一つの文字(今回は$x$)に注目し、$x(y²-z²)$以外の()を外していきます。
$x(y²-z²)+y(z²-x²)+z(x²-y²)$
$x(y²-z²)$ 以外の () を展開して外して、
$= x(y²-z²)+yz²-x²y+x²z-y²z$
$x²$でくくって、
$= x(y²-z²)+x²(z-y)+yz²-y²z$
$(y²-z²)$を因数分解した後、$yz²-y²z$を$yz$でくくって、
$=(z-y)x²+(y-z)(y+z)x+(z-y)yz$
共通因数の $(z-y)$ をくくりだして、
$=(z-y) {x²+(y+z)x+yz}$
最後に、$x²+(y+z)x+yz$ を因数分解して、
$=(z-y)(x+y)(x+z)$
5.まだ終わりません
油断せずに解きましょう。
$x⁶-y⁶$
$x³=a、y³=b$に置き換えて、
$=a²-b²$
$a²-b²$を因数分解して
$=(a+b)(a-b)$
$a=x³、b=y³$を代入して、、、まだ終わりじゃない!
$=(x³+y³)(x³-y³)$
最後に、公式を使って因数分解して
$=(x+y)(x²-xy+y²)(x-y)(x²+xy+y²)$
6.大きく置き換えます
こういった問題の場合、いきなり展開するのは少し面倒。
というわけで、$x+y=t$ と置き換えてから、因数分解を始めます。
$(x+y-1)(x+y+3)-5
x+y=t$ に置き換えて、
$=(t-1)(t+3)-5$
展開して整理すると、
$=t²+2t-8$
$t²+2t-8$ を因数分解して
$=(t+4)(t-2)$
最後に。$t=x+y$ を代入すると
$=(x+y+4)(x+y-2)$
7.かたまりを無理やり作ります
この問題の解き方が瞬間的に分かれば、かなりの上級者といえます。
問題の解説です。
$x³+2x²-4x-8
$x³-4x$ と $2x²-8$ に分けて、
$={x³-4x} + {2x²-8}$
それぞれを、$x$と$2$でくくると、
$=(x²-4)x + 2(x²-4)$
共通因数 $(x²-4)$ でくくって、
$=(x²-4)(x+2)$
$(x²-4)$ を因数分解すると、
$=(x+2)(x-2) (x+2)$
最後に、式を整理して
$=(x+2)²(x-2)$
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高校数学の因数分解まとめ
以上で因数分解について解説は終了です。
まだ応用問題にチャレンジしていない方は、ぜひチャレンジを。
》リターン:因数分解の応用問題
すでに応用問題を解き終わった方は、公式を再度チェックして、本記事で得たノウハウを確実のものとしてください!
》リターン:因数分解でよく使う8つの公式
それではこれにて!