高校の因数分解を5分でマスター!現役塾講師によるラクラク数学講座

 

はぁ、因数分解がなんとなく苦手です。簡単な問題なら解けるけど、応用問題や3次式の問題になると、とたんに解けなくなる...。もう一度 基礎から学んで、「たすき掛け」や「公式」を使いこなせるようにさせて下さい!

 

 

本記事では、このような悩みに答えます。

 

  • 本日の授業テーマ
高校の因数分解を基本の”キ”から学び直そう!

 

  • 本日の授業内容

 

この記事では、因数分解の基本のキから、公式+たすき掛けの使い方までをわかりやすく解説しています。

記事の後半では、テストで頻出する「因数分解の応用問題+解説」を8つ用意しているので、ぜひチャレンジしてみてください。

 

この記事を書いたのは誰?

この記事を書いている私は、受験指導歴8年の現役塾講師です。

出身は岩手県で、立命館大学に進学・卒業した後、大手塾講師として200人以上の中高生の勉強相談に答えてきました。

 

【高校数学】因数分解ってそもそもなに?基本のキから始めよう

 

因数分解とは、すなわち「展開の逆」です。

展開は分配法則を使って()の無い式にすることを言いますが、因数分解は()のある式にまとめることを言います。

 

展開と因数分解の具体的な説明式

高校数学では1次式、2次式、3次式....と、次数のたかいややこしい問題がたくさん出てきます。

そのような問題をコンパクトにまとめてラクに解くためにも、「因数分解」は必ず習得しておきたいテクニックです。

 

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因数分解問題でよく使う8つの公式【暗記しなくてOK】

 

因数分解の問題を解くとき、覚えておくと便利な公式を8つ紹介します。

ただし、ここで全てを覚える必要はありません。

 

ここに書いてある公式表をみつつ、後述する練習問題を3問ほど解けば自然と頭に残るはずです。

覚えるのではなく、公式を使うことに”慣れて”いきましょう!

 

2次式の因数分解でよく使う4つの公式

2次式における因数分解の公式

2次式の因数分解問題のほとんどは、これらの公式を使うことで解くことができます。

特に、式の中に「x」以外の文字が出てこない場合は、①を使って解けることが多いです。

 

以下に練習問題を用意したので、ぜひ解いてみてください。

 

てのひら先生
暗算で解けたら、さらにGood!

 

練習①:$x²+8x+7$ を因数分解してください
答え:$(x+1)(x+7)$ [これは①の公式を使って解くことができます]

 

練習②:$x²+6xy+9y²$ を因数分解してください
答え:$(x+3y)²$ [これは②の公式を使って解くことができます]

 

練習③:$98²-97²$ を計算してください
答え:$195$ [これは④の公式を使って解くことができます]

 

3次式の因数分解でよく使う4つの公式

3次式における因数分解の公式

2次式の公式も、3次式の公式も、「覚えているだけ」では、まったく役に立ちません。

 

例えば「$x³+3x²+3x+1$ を因数分解しなさい。」という問題。

10秒以内に答えられますか?

 

この問題、「$y=1$ になっている!」という点に気が付ければ、①の公式を使って簡単に解くことができるんです。

ただ、公式を丸暗記しているだけでは解けませんよね。

 

繰り返しになりますが、因数分解をマスターするには、たくさんの問題を解いて、公式や問題のパターンに慣れることが大切です。

 

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たすき掛けで因数分解する方法とコツ【パターンに慣れよう】

 

因数分解といば「たすき掛け」ですよね。

本章では「たすき掛けの原理」と、「具体的な使い方・手順」を、中学生でも分かるように解説しました。

 

てのひら先生
原理はどうでもいいから、使い方だけ教えて!
という人は、以下のリンクからどうぞ。

 

》スキップ:たすき掛けの使い方を学ぶ

なぜ解ける?たすき掛けの原理と仕組み

まずは、たすき掛けの原理と仕組みから紹介します。

例題として、「$3x²+5x-2$ を因数分解しなさい」という問題を使います。

 

例えば、$3x²+5x-2$を因数分解したときの、答えが $(ax+b)(cx+d)$ だったとします。

これを式に表すと、 $3x²+5x-2 = (ax+b)(cx+d)$ 。

さらに、$(ax+b)(cx+d)$を展開すると、$acx²+(ad+cb)x+bd$となりますので、

まとめると、 $3x²+5x-2 = acx²+(ad+cb)x+bd$ ということになりますね。

たすき掛けの原理についての説明式

 

つまり今回の問題は、これらの条件を満たす $a、b、c、d$ の値を見つけられれば、解けるということになります。

そしてこの「$a、b、c、d$ の値」を簡単に見つける方法が、「たすき掛け」なんです。

 

以下の表は、たすき掛けを行うときによく使う表になります。

今回は、すでに文字と数字が書き込んでありますね。

 

たすき掛けでよく使われる表

 

ここまでくれば、あとは

  1. かけて「$3$」になる、$ac$の組み合わせ
  2. かけて「$-2$」になる、$bd$の組み合わせ
  3. 足して「$5$」になる、$cb+ad$の組み合わせ

を順に考えていけばOK。

 

必ず、$a、b、c、d、$それぞれに一つの数字が当てはまります。

 

たすき掛けの原理・仕組について、なんとなくイメージできたでしょうか?

次の章では、実際に例題を解きながら、たすき掛けの手順を解説していきます。

 

たすき掛けを使おう!実践的な因数分解の解き方

では早速、たすき掛けの手順を3つに分けて解説します。

お手元に紙とペンを用意して、手を動かしずつ読み進めてみてください。

 

【例題】$3x²+5x-2$を因数分解しなさい。

 

手順①:$x²$の係数と定数項に注目する

まず初めに、$3x²+5x-2$を因数分解すると $(ax+b)(cx+d)$ になる、と仮定します。

 

そして、以下の四項目をたすき掛けの表に書き込みます。

 

  • $x²$の係数である「$3$」
  • 定数項である「$-2$」
  • 上二項目に対応する文字「$a、b、c、d$」
  • $x$の係数である「$5$」

 

すると、以下のような表が出来上がりますね。

例題をたすき掛けの表に当てはめた

 

手順②:$ac$と$bd$の組み合わせを考える

続いては、かけて「$3$」になる$ac$の組み合わせと、かけて「$-2$」になる$bd$の組み合わせを考えます。

これなら簡単に答えが出ますね。

 

  • $ac$ の組み合わせは「$3$$1$」、「$-3$$-1$
  • $bd$ の組み合わせは「$1$$-2$」、「$-1$$2$

 

それでは試しに、$ac$の「$3$$1$」の組み合わせと、$bd$の「$1$$-2$」の組み合わせを、たすき掛けの表に書き込んでみましょう。

3と1の組み合わせと1と-2の組み合わせを埋め込んだ

上手く書き込めましたか?

続いて、表に書いてある四則演算記号の通りに、計算してみましょう!

当てはめた文字の計算結果が間違っていた

おや、左の2つは正解ですが、一番右の計算が合いませんね。

ということは、$ac$の「$3$と$1$」の組み合わせと、$bd$の「$1$と$-2$」の組み合わせは間違いだったということになります。

 

では今度は、$ac$の組み合わせはそのままに、$bd$の組み合わせを「$-1$と$2$」にして計算してみましょう!

たすき掛けが成功した

おっ、今度はすべての計算が合いましたね!

ということは、この問題における$a、b、c、d$の組み合わせの正解は「$a=3、b=-1、c=1、d=2$」ということになります。

 

たすき掛けではこのように、正解が見つかるまで何度も数字を入れ替えし、適切な組み合わせを見つけます。

一見地道な作業ですが、慣れてくれば直観でスパッと解けるようになるはずです。

 

手順③:a、b、c、dの値を代入する

最後に$a、b、c、d$、の値を、 $(ax+b)(cx+d)$ に代入します。

 

手順②の計算で$a、b、c、d$、の値がそれぞれ

  • $a = 3$
  • $b = -1$
  • $c = 1$
  • $d = 2$

であることが分かっているので、それをそのまま代入すればOK。

 

導き出される答えは、$(3x-1)(x+2)$ となります。

 

たすき掛けの手順まとめ

最後に、たすき掛けの手順を簡単にまとめます。

 

たすき掛けを行う手順

 

因数分解問題に慣れてくれば、たすき掛けをいちいち意識しなくても、感覚的かつ正確に解けるようになってきます。

そのためにも、高校1年生のうちに、できるだけたくさんの問題を解きましょう!

 

次の章では、試験やテストでよくでる「因数分解の応用問題」を紹介しています。

少し複雑で難しそうに見える問題も、”ある知識”が頭に入っていれば、簡単に解けることも多いです。

 

テスト直前にこの記事をみてるそこあなた!

ぜひ、一度目を通し、時間があれば自力で挑戦してみてくださいね!

 

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【テスト対策】因数分解の応用問題|難しくみえて実はカンタン

 

早速、因数分解の応用問題を紹介していきます。

問題は全部で8つあり、それぞれ「着目するポイント」や「解き方」が少しずつ違っているので、しっかりと解説を読み込んでください。

 

●因数分解を極める8つの応用問題

  1. $x²-y²-3xz+3yz$ を因数分解しなさい。
  2. $x²+4x+yx-2y²+5y+3$ を因数分解しなさい。
  3. $x³+3x²y+zx²+2xy²+3xyz+2zy²$ を因数分解しなさい。
  4. $x(y²-z²)+y(z²-x²)+z(x²-y²)$ を因数分解しなさい。
  5. $x⁶-y⁶$ を因数分解しなさい。
  6. $(x+y-1)(x+y+3)-5$ を因数分解しなさい。
  7. $x³+2x²-4x-8$ を因数分解しなさい。

 

1.降べきの順が基本です

【問題】$x²-y²-3xz+3yz$ を因数分解しなさい。
【答え】 $(x-y)(x+y-3z)$

 

降べき順とは、因数分解をするときに「次数の高いものを左に並べる」ことです。

次数とは、掛け合わされている文字の数で、$x²$も$xy$も、どちらも次数は「$2$」となります。

 

問題が $x²-y²-3xz+3yz$ の場合は、$x²-3xz-y²+3yz$ といった風に整列するのが、一般的です。しかし、ここで、$z$に注目すると、$z$の次数は、「$1$」となるので、こっちから考えた方がいい場合があります。

くくれる次数の中で、一番次数の少ないものに着目します。

※あくまで「基本」であり、降べき順にしない方が解きやすい場合もあります。

 

ではでは、問題の解説です。

 

$x²-y²-3xz+3yz$

 

最低次数の降べき順に並び替えて、

 

$= -3xz+3yz+ x²-y²$

 

$-3z$でくくり、後ろは公式で整理すると

 

$= -3z(x-y)+(x+y)(x-y)$

 

共通因数である$(x-y)$でくくって、

 

$= (-3z+x+y)(x-y)$

 

最後に、式を整列して

 

$=(x-y)(x+y-3z)$

 

2.たすき掛けを応用します

【問題】 $x²+4x+yx-2y²+5y+3$ を因数分解しなさい。
【答え】 $(x-y)(x+y-3z)$

 

この問題は結構な難問ですので、初見で解ける人は少ないかもしれません。

 

いきなりですが、問題の解説に入ります。

 

$x²+4x+yx-2y²+5y+3$

 

$x$について降べき順に整理して、

 

$= x²+(4+y)x -2y²+5y+3$

 

$-2y²+5y+3$をたすき掛けで因数分解して、

 

$= x²+(4+y)x +(2y+1)(-y+3)$

 

最後に、全体をたすき掛けで因数分解して、

 

$= (x+2y+1)(x-y+3)$

 

3段目から4段目に移るときに行うたすき掛けは、以下の通り。

 

たすき掛けの手順を示した画像

 

3.文字が3つ以上あります

【問題】 $x³+3x²y+zx²+2xy²+3xyz+2zy²$ を因数分解しなさい。
【答え】 $(x+y)(x+2y)(x+z)$

 

このように、$x・y・z$などの文字が3つ以上ある場合、最も次数の低い文字に注目すると良き。

この問題の場合、最小次数の$z$でくくり、[ $z$の一次式+それ以外 ]という形に整理してから、因数分解を始めます。

 

$x³+3x²y+zx²+2xy²+3xyz+2zy²$

 

$z$でくくった後、残った式を$x$でくくって、

 

$=(x²+3xy+2y²)z + (x²+3xy+2y²)x$

 

共通因数$(x²+3xy+2y²)$でくくって、

 

$=(x²+3xy+2y²)(x+z)$

 

最後に、$(x²+3xy+2y²)$をたすき掛けして

 

$=(x+2y)(x+y)(x+z)$

 

4.展開する勇気が必要です

【問題】 $x(y²-z²)+y(z²-x²)+z(x²-y²)$ を因数分解しなさい。
【答え】$(z-y)(x+y)(x+z)$

 

このように、$xyz$のそれぞれが同じ位置にあるような因数分解問題。

このような場合、まずは一つの文字(今回は$x$)に注目し、$x(y²-z²)$以外の()を外していきます。

 

$x(y²-z²)+y(z²-x²)+z(x²-y²)$

 

$x(y²-z²)$ 以外の () を展開して外して、

 

$= x(y²-z²)+yz²-x²y+x²z-y²z$

 

$x²$でくくって、

 

$= x(y²-z²)+x²(z-y)+yz²-y²z$

 

$(y²-z²)$を因数分解した後、$yz²-y²z$を$yz$でくくって、

 

$=(z-y)x²+(y-z)(y+z)x+(z-y)yz$

 

共通因数の $(z-y)$ をくくりだして、

 

$=(z-y) {x²+(y+z)x+yz}$

 

最後に、$x²+(y+z)x+yz$ を因数分解して、

 

$=(z-y)(x+y)(x+z)$

 

5.まだ終わりません

【問題】 $x⁶-y⁶$ を因数分解しなさい。
【答え】 $(x+y)(x²-xy+y²)(x-y)(x²+xy+y²)$

 

油断せずに解きましょう。

 

$x⁶-y⁶$

 

$x³=a、y³=b$に置き換えて、

 

$=a²-b²$

 

$a²-b²$を因数分解して

 

$=(a+b)(a-b)$

 

$a=x³、b=y³$を代入して、、、まだ終わりじゃない!

 

$=(x³+y³)(x³-y³)$

 

最後に、公式を使って因数分解して

 

$=(x+y)(x²-xy+y²)(x-y)(x²+xy+y²)$

 

6.大きく置き換えます

【問題】 $(x+y-1)(x+y+3)-5$ を因数分解しなさい。
【答え】 $(x+y+4)(x+y-2)$

 

こういった問題の場合、いきなり展開するのは少し面倒。

というわけで、$x+y=t$ と置き換えてから、因数分解を始めます。

 

$(x+y-1)(x+y+3)-5

 

x+y=t$ に置き換えて、

 

$=(t-1)(t+3)-5$

 

展開して整理すると、

 

$=t²+2t-8$

 

$t²+2t-8$ を因数分解して

 

$=(t+4)(t-2)$

 

最後に。$t=x+y$ を代入すると

 

$=(x+y+4)(x+y-2)$

 

7.かたまりを無理やり作ります

【問題】 $x³+2x²-4x-8$ を因数分解しなさい。
【答え】 $(x+2)²(x-2)$

 

この問題の解き方が瞬間的に分かれば、かなりの上級者といえます。

問題の解説です。

 

$x³+2x²-4x-8

 

$x³-4x$ と $2x²-8$ に分けて、

 

$={x³-4x} + {2x²-8}$

 

それぞれを、$x$と$2$でくくると、

 

$=(x²-4)x + 2(x²-4)$

 

共通因数 $(x²-4)$ でくくって、

 

$=(x²-4)(x+2)$

 

$(x²-4)$ を因数分解すると、

 

$=(x+2)(x-2) (x+2)$

 

最後に、式を整理して

 

$=(x+2)²(x-2)$

 

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高校数学の因数分解まとめ

 

以上で因数分解について解説は終了です。

まだ応用問題にチャレンジしていない方は、ぜひチャレンジを。

》リターン:因数分解の応用問題

 

すでに応用問題を解き終わった方は、公式を再度チェックして、本記事で得たノウハウを確実のものとしてください!

》リターン:因数分解でよく使う8つの公式

 

それではこれにて!

 

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