5秒で理解する不等式の性質まとめ!高校生が必ずつまづく基礎問題付き

 

 

  • 本日の授業テーマ
5秒で理解する不等式の性質まとめ!高校生が必ずつまづく基礎問題付き

 

  • 本日の授業内容

 

不等式の性質は、高校数学Ⅰの基礎中の基礎です。

今後勉強する 一次不等式・連立不等式・二次不等式 etc... などを理解するうえで、とても重要な単元となります。

 

本記事では、前半で不等式の4つの性質を、後半から試験でよく見る5つの練習問題を解説しています。

この1記事だけで、不等式の性質をばっちりマスターできるので、ぜひ最後までご覧ください。

 

この記事を書いたのは誰?

この記事を書いている私は、受験指導歴8年の現役塾講師です。

出身は岩手県で、立命館大学に進学・卒業した後、大手塾講師としてこれまでに200人以上の中高生の勉強相談に答えてきました。

不等式における左辺・右辺・両辺ってなに?

A>B という不等式があるとします。

この時、Aのことを左辺。Bのことを右辺。左辺と右辺を合わせて両辺と呼びます。

不等式の性質をわかりやすく解説|高校数学Ⅰ

 

不等式の性質をまとめると、全部で4つ。

これらさえ頭に入れておけば、ほとんどの問題に対応できます。

 

 

ここからは、4つの性質を、例題を解きながら1つずつ理解していきましょう

  • 不等式の性質まとめ

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両辺の大小関係を示す性質

 

『AがBより小さく、BがCより小さいとき、AはCより大きい』

ということを示した性質です。

 

つまりは、塩パンがカップラーメンより安く、カップラーメンがロールケーキよりも安いとき、ロールケーキは塩パンより高い、ということ。

 

塩パン<カップラーメン<ロールケーキ

 

一見当たり前で、重要ではない性質のように見えますが、

 

$A<B<Cより、A<Cだから....$

 

といった解法の流れは、不等式の文章題でよく利用しますので、油断せずしっかりとインプット(記憶)しましょう!

 

  • 『AがBより小さく、BがCより小さいとき、AはCより大きい』

$A<B, B<C$ ならば $A<C$

 

不等式の加法の性質|両辺に同じ数を足す

 

『両辺に同じ数を足しても不等号の向きは変わらない』

ということを示した性質です。

 

急に「塩パン」と「カップラーメン」を食べたくなったあなたは、母親と近所のスーパーにやってきました。

この時、両者の価格の大小関係は次の通りです。

 

塩パン < カップラーメン

 

そして、塩パンとカップラーメンを買い物かごに入れたあなたは、レジに向かう途中で大好物の「ロールケーキ」に遭遇します。

ロールケーキも買い物かごに入れようとしたあなたですが、それを静止する母。

 

母親
どうしてもロールケーキが食べたいなら、「塩パン+ロールケーキ」か「カップラーメン+ロールケーキ」のどちらかにしなさい。

あなた
あっ、母ちゃん今日、機嫌悪いな。

母親
安い方、選びなさいよ。

あなた
はい。

 

さてこのとき、より安い組み合わせはどちらでしょうか?

不等式の性質を利用すれば、合計価格を計算しなくても分かります。

 

塩パン < カップラーメン

ここに、それぞれロールケーキが加わるので

 

塩パン+ロールケーキ < カップラーメン+ロールケーキ

$100$+$300$円 < $200$+$300$円 )

 

つまり、母親の機嫌をそこねないためには、より安価な「塩パン+ロールケーキ」の組み合わせを選ぶべきだといえますね。

 

  • 『両辺に同じ数を足しても不等号の向き(大小関係)は変わらない』

$A<B$ ならば $A+C<B+C$

 

不等式の減法の性質|両辺から同じ数を引く

 

『両辺から同じ数を引いても不等号の向きは変わらない』

ということを示した性質です。

 

先ほどの「塩パン」と「カップラーメン」と「ロールケーキ」の話に戻ります。

 

塩パン+ロールケーキ < カップラーメン+ロールケーキ

 

どちらかというと、塩パンよりもカップラーメンが食べたいあなたは、ある妙案を思いつきます。

ポイントカードです。

 

あなた
はい。このポイントカード使えば、値引きされて安くなるはずだよ!

あなた
だから、少し高い「カップラーメン+ロールケーキ」のほう、買っていいよね?

 

カップラーメン + ロールケーキ  ポイントカード

 

確かに、ポイントカードを使うことで、多少高い組み合わせを選んでも、価格は抑えられますね。

しかし、母親はこういいます。

 

母親
それなら、安い方の組み合わせにポイントカードを使った方が、もっと安くなるじゃないの。

母親
よって、買うのは「塩パン+ロールケーキ」よ。

 

塩パン+ロールケーキポイント

カップラーメン+ロールケーキポイント

 

塩パン・カップラーメン・ロールケーキ・ポイントの値をそれぞれ、100円・200円・300円・100円とすると、

 

$100$+ $300$円  - $100$

$200$+ $300$円  - $100$

 

そう、この母親理論こそが、不等式の第三の性質。

もともと同じ大小関係(不等号)の両辺から、同じ数を引いたとしても、不等号の向きは変わりません。

 

  • 『両辺から同じ数を引いても不等号の向き(大小関係)は変わらない』

$A<B$ ならば $A-C<B-C$

 

不等式の乗法・除法の性質|正の数 編

 

『両辺に正の数を掛けても割っても、不等号の向きは変わらない』

ということを示した性質です。

 

この性質も、塩パンとカップラーメンで例えると簡単に理解可能です。

 

塩パン < カップラーメン

 

例えば、食いしん坊なあなたは、塩パンとカップラーメンのどちらかを2つずつ買いたいとします。

 

塩パン × $2$ < カップラーメン × $2$

 

塩パン・カップラーメンの値を、それぞれ100円・200円とすると、

 

$100$円× $2$ < $200$円× $2$

 

この通り、不等号の向きは変わりませんね。

両辺に同じ正の数を掛けたとしても、不等号の向きは絶対に変わりません。

 

この性質は「正の数」を掛ける場合に限って、必ず成立します。

 

例えば、$\frac{1}{2}$ や $8.3$ といった、分数・少数を掛けたとしても、両者の大小関係(不等号)は変わりません。

 

塩パン × $\frac{1}{2}$ < カップラーメン ×$\frac{1}{2}$

塩パン × $0.83$ < カップラーメン ×$0.83$

 

  • 『両辺に同じ正の数を掛けても割っても、不等号の向き(大小関係)は変わらない』

$A<B, C>0$ ならば $A×C<B×C$

 

不等式の乗法・除法の性質|負の数 編

 

『両辺に負の数を掛けたり割ったりすると不等号の向きが逆になる』

ということを示した性質です。

 

数字増えるほど大きくなる正の数に対し、負の数は数字が増えるほど数としては小さくなります。

 

  • 正の数:1, 2, 3, 4, 5........102, 103 ・・・(どんどん増えていく)
  • 負の数:-1, -2, -3, -4, -5.......-102, -103 ・・・(どんどん減っていく)

 

そのため、もともとは A<B という大小関係も、負の数を掛けたり割ったりすることで逆転してしまうわけです。

 

$100 < 500$

$-100 > -500$

 

「負の数の掛け算・割り算」は、不等式の単元において最も重要なポイントの一つ。

性質を機械的に覚えるのではなく、しっかりと数字の大小を確認しつつ、問題を丁寧に解いていきましょう。

 

  • 『両辺に同じ負の数を掛けたり割ったりすると、不等号の向き(大小関係)が逆転する』

$A<B, C<0$ ならば $A×C>B×C$

 

2つの不等式を足し合わせたときの性質

 

『2つの不等式を足し合わせてもよい』

ということを示した性質です。

 

少し難しく見える性質ですが、順序だてて考えていくと簡単に理解できますよ。

 

まずは、$A<X<B$ の各辺に $Y$ を足します

$A+Y<X+Y<B+Y$ ・・・Ⓐ

 

次に、$C<Y$ の両辺に $A$ を、$Y<D$ の両辺に $B$ を足します

$A+C<A+Y$・・・Ⓑ

$B+Y<B+D$・・・Ⓒ

 

最後に、$A,B,C$ のそれぞれの大小関係を不等式で表します

A+C<A+Y<X+Y<B+Y<B+D

 

これによって、 $A+C<X+Y<B+D$ の性質が成り立つことが分かります。

 

2つの不等式を足したり引いたりする問題は、試験で頻出する応用問題ですので、しっかりと性質を理解しましょう。。。。

 

  • 『2つの不等式を足し合わせてもよい』

$A<X<B,C<Y<D$ ならば $A+C<X+Y<B+D$

 

不等式の基礎問題とその解き方|高校数学Ⅰ

 

ここからは実際に問題を解きつつ、不等式の性質を脳にインプット(定着)させていきましょう。

今回用意した問題は以下の5つ。

 

  • 1.$-2x-7>5$ を解け
  • 2.$x+0.5≧0.2x+0.3$ をとけ
  • 3.$3<5+x$ と $0≦x-2$ を、同時に満たす$x$の値の範囲を求めよ
  • 4.$-1<x<2$ であるとき、$x+3$ の取りうる値の範囲を求めよ
  • 5.$-1<x<2, 1<y<3$ であるとき、$5x-3y$ の取りうる値の範囲を求めよ

 

ここで一端スマホをおいて、お手元に紙とペンを用意しつつ、問題を解いてみてください。

 

  • 不等式の性質を理解できる問題まとめ

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1.基礎的な不等式の解き方

【問題】$-2x-7>5$ を解け。
【答え】$x < -6$

※クリックすると答えが表示されます↑

 

【解法の流れ】

「左辺はx、右辺は数字」といった形を作り、不等式の性質(負の数の割り算)に注意して不等式を解きましょう。

 

左辺を $x$ だけにするため、両辺に $7$ を足して

$-2x-7+7>5+7$

$-2x>12$

 

両辺を $-2$ で割って

$x<-6$

※負の数で割ったため不等号が逆転することに注意

 

  • 利用している不等式の性質

① $a<b$ ならば $a+c<b+c$

両辺に同じ数を足しても、不等号の向きは変わらない

 

② $a<b$, $c<0$ ならば $\frac{a}{c}>\frac{b}{c}$

両辺を負の数で割ると、不等号の向きが変わる

 

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2.少数を含む不等式の解き方

【問題】$x+0.5≧0.2x+0.3$ を解け。
【答え】$x≧-0.25$

※クリックすると答えが表示されます↑

 

【解法の流れ】

少数や分数の問題でも、難しく考える必要はありません。

やるべきことは先ほどと同じ、「左辺は$x$、右辺は数字」といった形を作り、不等式の性質に気を配りつつ不等式を解きましょう。

 

左辺を $x$ だけにするため、両辺に $-0.5$ と $-0.2x$ を足し

x+0.5-0.5-0.2x≧0.2x+0.3-0.5-0.2x

$x-0.2x≧0.3-0.5$

$0.8x≧-0.2$

 

両辺を $0.8$ で割ると

$x≧-0.25$

※正の数で割っても、不等号は変わらない

 

  • 利用している不等式の性質

① $a<b$ ならば $a-c<b-c$

両辺から同じ数を引いても、不等号の向きは変わらない

 

② $a<b$, $c>0$ ならば $\frac{a}{c}<\frac{b}{c}$

両辺を正の数で割っても、不等号の向きは変わらない。

 

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3.xの値の範囲を求める問題の解き方(その①)

【問題】$3<5+x$ と $0≦x-2$ を、同時に満たすxの値の範囲を求めよ。
【答え】$2≦x$

※クリックすると答えが表示されます↑

 

【解法の流れ】

まずは、それぞれの不等式をいつも通りに解き、$x$の値の範囲を$2$つ導き出します。

続いて、導き出した$2$つの「範囲」を両方満たす$x$の値の範囲を求めれば完了です。

※不安な時は、数直線を引いてみよう!

 

$3<5+x$ の両辺に $-5$ を足して

$3-5<5+x-5$

$-2<x$

 

$0≦x-2$ の両辺に $2$ を足して

$0+2≦x-2+2$

$2≦x$

 

$-2<x$ と $2≦x$ の共通範囲は、 $2≦x$ だから、答えは

$2≦x$

 

  • 利用している不等式の性質

① $a<b$ ならば $a-c<b-c$

両辺から同じ数を引いても、不等号の向きは変わらない

 

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4.xの値の範囲を求める問題の解き方(その②)

【問題】$-1<x<2$ であるとき、 $x+3$ の取りうる値の範囲を求めよ。
【答え】$2<x+3<5$

※クリックすると答えが表示されます↑

 

【解法の流れ】

不等式の性質(両辺に同じ数を足す)を使って、各辺に $3$ を足しつつ、 $x+3$ の値の範囲を導きます。

 

不等式の性質を使い、 $-1<x<2$ の各辺に $3$ を足すと

$-1+3<x+3<2+3$

$2<x+3<5$

 

  • 利用している不等式の性質

① $a<b$ ならば $a+c<b+c$

両辺に同じ数を足しても、不等号の向きは変わらない

 

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5.2つの不等式を組み合わせる問題の解き方

【問題】$-1<x<2$, $1<y<3$ であるとき、 $5x-3y$ の取りうる値の範囲を求めよ。
【答え】$-14<5x-3y<7$

※クリックすると答えが表示されます↑

 

【解法の流れ】

$-1<x<2$ と $1<y<3$ をあらかじめ”使いやすい形”に加工し、最後にⒶⒷの各辺を足し算するだけで答えが出るような状況を作ります。

 

$-1<x<2$ の各辺に $5$ を掛けて

$-5<5x<10$ ・・・Ⓐ

※正の数を掛けても、不等号は変わらない

 

$1<y<3$ の各辺に $-3$ を掛けて

$-3>-3y>-9$

$-9<-3y<-3$ ・・・Ⓑ

※負の数を掛けたため、不等号が逆転する

 

ⒶとⒷの各辺を加えて

$-14<5x-3y<7$

 

  • 利用している不等式の性質

① $a<b, c>0$ ならば $ac<bc, \frac{a}{c}<\frac{b}{c}$

両辺に正の数を掛けても割っても、不等号の向きは変わらない。

 

②$a<b, c<0$ ならば $ac>bc, \frac{a}{c}>\frac{b}{c}$

両辺に負の数を掛けたり割ったりすると、不等号の向きが逆転する。

 

③ $a<x<b, c<y<d$ ならば $a+c<x+y<c+d$

2つの不等式を足し合わせたときの性質

 

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高校数学の不等式の性質|まとめ

 

以上で不等式の性質についての解説は終了です。

まだ練習問題を解いていない方は、ぜひチャレンジをどうぞ!

》リターン:不等式の性質の練習問題

 

すでに問題を解き終わった方は、性質を再度確認してからブラウザを閉じ、次の単元に移りましょう!

》リターン:不等式の性質まとめ

 

それではこれにて!

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