
この間の数学の授業で、連立不等式の解説を聞き逃しました(泣)
友達には「共通範囲を求めればいいだけだよ」とか言われたけど、さっぱりです。連立不等式の解き方や、数直線の書き方など、基礎知識から教えてください!
この記事では、こういった疑問に答えます。
- 本日の授業テーマ
- 本日の授業内容
※リンクをクリックすれば練習問題へジャンプできます
連立不等式は、食塩水問題などの文章問題を解く時に利用する、一次不等式(および二次不等式)の応用テクニックです。
本記事を読めば、たった10分のうちに「連立不等式 怖くねぇ!」状態になりますので、ぜひ最後までご覧ください。
また、不等式の基礎知識については以下の記事でサクッと確認できます。
》参考:5秒で理解する不等式の性質まとめ|高校生が必ずつまづく基礎問題付き
この記事を書いている私は、受験指導歴8年の現役塾講師です。
出身は岩手県で、立命館大学に進学・卒業した後、大手塾講師として200人以上の中高生の勉強相談に答えてきました。
連立不等式の解き方と共通範囲について|+数直線の書き方も解説
つまづく高校生が続出する「連立不等式」ですが、難しく考える必要はありません。
解き方はシンプルでして、やるべきことは2つだけです。
- 連立不等式の解き方
- 手順①:それぞれの不等式を1つずつ解く
- 手順②:それぞれの共通範囲を求める
本当にこれだけ。その他の難しいテクニックは必要ありません。
だけど、じゃあなぜこんなにも苦戦してしまうんだろうか?
共通範囲とは、各不等式を解いて求められたそれぞれの解(xの値の範囲)の、「共通部分」のことです。
例えば次のような連立方程式があったとして、
$$\left\{%
\begin{array}{l}
x≦1・・・①\\
-5<x・・・②
\end{array}
\right.$$
この連立不等式の解(①と②の共通範囲)は次の通り。
$$-5<x≦1$$
これを数直線に表すと、
連立不等式を解く上で、「数直線」の概念はとても重要になります。
実際に図を書くにしろ、頭でイメージするにしろ、複数の不等式の共通範囲を求めるときには必ず利用するからです。
この記事を見ているあなたにも、”慣れるまでは”プリントの余白などに数直線を書きつつ、問題を解いていくことをおススメします。
では最後に、数直線を書く際のルールをサクッとまとめます!
- 数直線の書き方
- 範囲をわかりやすくするため、線の高さをずらす
- その数字を含まないときは◯、含むときは●
- 必要な分だけメモリを用意する
さて、次章はいよいよ実践編。
連立不等式の練習問題を3問ほど解きつつ、連立不等式の解き方をマスターしましょう。
連立不等式の練習問題で基礎固め!解き方の解説つき
ではでは、さっそく連立不等式の基礎問題を解いていきましょう。
今回用意した問題はこちら。
- $\left\{%
\begin{array}{l}
x-3>4x+1\\
4(x+1)<2x+1
\end{array}
\right.$ を解け - $\left\{%
\begin{array}{l}
5x+1≦8(x+2)\\
2x-3<1-(x-5)
\end{array}
\right.$ を解け - $\left\{%
\begin{array}{l}
2x+3>x+2\\
3x>4x+2
\end{array}
\right.$ を解け
間違わずに解ければ、連立不等式の基礎はバッチリですよ!
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》スキップ:応用問題を解く
その①|連立不等式の練習問題
\begin{array}{l}
x-3>4x+1\\
4(x+1)<2x+1
\end{array}
\right.$ を解け
$$\left\{%
\begin{array}{l}
x-3>4x+1・・・Ⓐ\\
4(x+1)<2x+1・・・Ⓑ
\end{array}
\right.$$
Ⓐより、
$$-3>3x+1$$
$$-4>3x$$
$$x<-\dfrac{4}{3}$$
Ⓑより、
$$4x+4<2x+1$$
$$2x<-3$$
$$x<-\dfrac{3}{2}$$
ⒶⒷの解(xの値の範囲)を、数直線に表すと
よって共通範囲は
$$x<-\dfrac{3}{2}・・・(答え)$$
その②|連立不等式の練習問題
\begin{array}{l}
5x+1≦8(x+2)\\
2x-3<1-(x-5)
\end{array}
\right.$ を解け
$$\left\{%
\begin{array}{l}
5x+1≦8(x+2)・・・Ⓐ\\
2x-3<1-(x-5)・・・Ⓑ
\end{array}
\right.$$
Ⓐより、
$$5x+1≦8x+16$$
$$-15≦3x$$
$$-5≦x$$
Ⓑより、
$$2x-3<1-(x-5)$$
$$2x-3<1-x+5$$
$$3x<9$$
$$x<3$$
ⒶⒷの解(xの値の範囲)を、数直線に表すと
よって共通範囲は
$$-5≦x<3・・・(答え)$$
その③|連立不等式の練習問題
\begin{array}{l}
2x+3>x+2\\
3x>4x+2
\end{array}
\right.$ を解け
$$\left\{%
\begin{array}{l}
2x+3>x+2・・・Ⓐ\\
3x>4x+2・・・Ⓑ
\end{array}
\right.$$
Ⓐより
$$2x-x>2-3$$
$$x>-1$$
$$-1<x$$
Ⓑより
$$3x-4x>2$$
$$-x>2$$
$$x<-2$$
ⒶⒷの解(xの値の範囲)を、数直線に表すと
よって共通範囲は
$$なし/解なし・・・(答え)$$
連立不等式の応用問題にチャレンジ!テストで頻出する良問3選
連立不等式の基礎を固めた人は、応用問題にもチャレンジしてみましょう!
今回用意した問題はこちら。
- $-2x+1<3x+4<2(3x-4)を解け$
- $\dfrac{4(1-x)}{3}<\dfrac{3(x-2)}{4}<\dfrac{2(1-x)}{5}を解け$
- 兄弟合わせて$52$本のペンを持っている。兄が弟に自分が持っているペンのちょうど$\dfrac{1}{3}$をあげてもまだ兄の方が多く、更に3本あげると弟の方が多くなる。兄が初めに持っていたペンの本数を求めよ。
一番難しいのは、その③で紹介した文章問題。
しかし、情報を整理しながら式を組み立てれば、解けない問題ではありません。
連立不等式の基礎的な解き方を意識しつつ、落ち着いて、チャレンジをどうぞ。
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その①|連立不等式の応用問題
「不等式が3つもある!?」
と驚くかもしれませんが、解き方はカンタン。
このような問題の場合、まずは真ん中を軸に不等式を2つに分け、連立不等式を作るところから始めます。
$$\left\{%
\begin{array}{l}
-2x+1<3x+4・・・Ⓐ\\
3x+4<2(3x-4)・・・Ⓑ
\end{array}
\right.$$
あとは先ほどと同様に、ⒶⒷそれぞれの連立不等式を解き、共通範囲を求めるだけ。
Ⓐより、
$$-2x+1<3x+4$$
$$1-4<3x+2x$$
$$-3<5x$$
$$-\dfrac{3}{5}<x$$
Ⓑより、
$$3x+4<6x-8$$
$$4+8<6x-3x$$
$$12<3x$$
$$4<x$$
ⒶⒷの解(xの値の範囲)を、数直線に表すと
よって共通範囲は
$$4<x・・・(答え)$$
その②|連立不等式の応用問題
この問題も、解き方は先ほどと同じ。
まずは、3つの式の真ん中を軸にして2つに分け、連立不等式を作ります。
$$\left\{%
\begin{array}{l}
\dfrac{4(1-x)}{3}<\dfrac{3(x-2)}{4}・・・Ⓐ\\
\dfrac{3(x-2)}{4}<\dfrac{2(1-x)}{5}・・・Ⓑ
\end{array}
\right.$$
Ⓐより、
$$\dfrac{4(1-x)}{3}<\dfrac{3(x-2)}{4}$$
両辺に、各分母の最小公倍数である$12$を掛けて
$$4(1-x)×4<3(x-2)×3$$
$$16-16x<9x-18$$
$$34<25x$$
$$\dfrac{34}{25}<x$$
Ⓑより、
$$\dfrac{3(x-2)}{4}<\dfrac{2(1-x)}{5}$$
各辺に、各分母の最小公倍数である$20$を掛けて
$$15(x-2)<8(1-x)$$
$$15x-30<8-8x$$
$$23x<38$$
$$x<\dfrac{38}{23}$$
ⒶⒷの解(xの値の範囲)を、数直線に表すと
よって共通範囲は
$$\dfrac{34}{25}<x<\dfrac{38}{23}・・・(答え)$$
その③|連立不等式の応用問題
兄が初めに持っていた本数を $x$ 本とすると、弟は $52-x$ 本持っていることになる。
次に、兄が弟に自分が持っているペンの $\dfrac{1}{3}$ をあげても、まだ兄の方が多いことから、次の式が成立する。
$$(52-x)+\dfrac{x}{3}<x-\dfrac{x}{3}・・・Ⓐ$$
$$弟の本数 + 貰った本数 < 兄の本数 - あげた本数$$
続いて、更に3本あげると弟の方が多くなることから、次の式が成立する。
$$(52-x)+\dfrac{x}{3}+3<x-\dfrac{x}{3}-3・・・Ⓑ$$
ⒶとⒷを連立方程式としてそれぞれ解くと
$$\left\{%
\begin{array}{l}
(52-x)+\dfrac{x}{3}<x-\dfrac{x}{3}・・・Ⓐ\\
(52-x)+\dfrac{x}{3}+3<x-\dfrac{x}{3}-3・・・Ⓑ
\end{array}
\right.$$
ーⒶより、
$$52<2(x-\dfrac{x}{3})$$
$$26<\dfrac{2x}{3}$$
$$39<x$$
―Ⓑより、
$$52+6>2(x-\dfrac{x}{3})$$
$$29>\dfrac{2x}{3}$$
$$x<43.5$$
ⒶとⒷより、xの値は $39<x<43.5$ を満たす整数であるから、
$40,$ $41,$ $42$
この中で、ぴったり $\dfrac{1}{3}$ に分けて(弟に)あげられるものは
$$42 だけである・・・(答え)$$
連立不等式の解き方まとめ
以上で、「連立不等式の解き方」についての解説は終了です。
連立不等式を攻略するコツは、なんといっても数直線。
常に数字や文字の大小関係を意識しつつ、正確に共通範囲を導き出せるようにしましょうね。
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以下の記事では、一次不等式(高校数学)の応用問題パターンをまとめてあります。
最大の難関である「文章題」や、この記事で扱った「連立不等式」の問題とその解き方を紹介していますので、ぜひチャレンジあれ!