
- 「一次不等式で、分数や少数を整数に直す方法」
- 「分母にxなどの文字が含まれる一次不等式の解き方」
- 「分数や少数を扱う一次不等式の文章問題の解き方」
この記事を読むことで、上記3点を完璧にマスターできます。
- 本日の授業テーマ
- 本日の授業内容
不等式の基礎知識については、以下の記事でサクッと確認できます。
不等式の5つの性質を”10秒以内”にパッと思い出せない方は、分数問題を解く前に一度、目を通しておくと良いでしょう。
》参考:5秒で理解する不等式の性質まとめ|高校生が必ずつまづく基礎問題付き
分数・少数を含む一次不等式の基礎問題を解いてみよう!
まずは、分数・少数を含む、一次不等式の基礎的な計算問題から解いてみましょう!
以下2つの問題をみて、解き方が10秒以内にイメージできるなら、次の章(発展問題)に進んでもOKです。
- $\dfrac{5x+1}{4}-\dfrac{2-3x}{3}<\dfrac{x}{6}+1を解け。$
- $0.05≦0.2-\dfrac{x}{100}≦0.1を解け。$
》スキップ:一次不等式の発展問題を解いてみよう!
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分数一次不等式の解き方|基礎問題①
分母を消して整数に直すため、全ての項に $12$ を掛けて、
※「12」は、3・4・6の最小公倍数
$$3(5x+1)-4(2-3x)<2x+12$$
式を展開して
$$15x+3-8+12x<2x+12$$
展開した式を計算し、左側に $x$ の仲間を、右側にそれ以外をまとめると、
$$27x-2x<12+5$$
$$25x<17$$
最後に両辺を、$x$ の係数である $25$ で割ると
$$x<\dfrac{17}{25}・・・(答え)$$
少数一次不等式の解き方|基礎問題②
少数と分数を整数に直すため、全ての項に $100$ を掛けて
$$5≦20-x≦10$$
2つの式に分けて、連立不等式として考えると
$$\left\{%
\begin{array}{l}
5≦20-x・・・①\\
20-x≦10・・・②
\end{array}
\right.$$
①より
$$x≦20-5$$
$$x≦15$$
②より
$$20-x≦10$$
$$20-10≦x$$
$$10≦x$$
①と②の共通範囲を合わせると
$$10≦x≦15・・・(答え)$$
分数を含む一次不等式の発展問題を解いてみよう!
続いては、分数一次不等式の発展問題を解いてみましょう。
一見難しく見えますが、焦らずにじっくりと式を観察すれば解法の糸口が見えてくるはずです。
- $\dfrac{x-4}{x-2}>\dfrac{4-x}{2}を解け。$
例によって、解き方が10秒以内にイメージできるなら、次の章(文章問題)に進んでもOK。
》スキップ:一次不等式の文章問題を解いてみよう!
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分数一次不等式の解き方|発展問題①
まずは右辺の式を左辺に移行して
$$\dfrac{x-4}{x-2}-\dfrac{4-x}{2}>0$$
左辺だけに注目して式を整理すると
$$\dfrac{(x-4)×2}{(x-2)×2}-\dfrac{(4-x)×(x-2)}{2×(x-2)}>0$$
$$\dfrac{(x-4)×2-(4-x)(x-2)}{(x-2)×2}>0$$
$$\dfrac{(x-4)×2+(x-4)(x-2)}{(x-2)×2}>0$$
共通因数である $(x-4)$ でくくると
$$\dfrac{(x-4)×(2+x-2)}{(x-2)×2}>0$$
$$\dfrac{(x-4)×x}{(x-2)×2}>0$$
両辺に $2$ を掛けて
$$\dfrac{(x-4)×x}{(x-2)}>0$$
$x-2$ が 正のときと・負のときとで、場合分けすると
(i) x-2>0 の場合
両辺に $(x-2)$を掛けて
$$(x-4)×x>0$$
この式から求められる $x$ の値の範囲は、
$$x<0,4<x$$
条件である $x-2>0$ との共通範囲は
$$4<x$$
(ⅱ) x-2<0 の場合
両辺に $(x-2)$ を掛けて
$$(x-4)×x<0$$
この式から求められる $x$ の値の範囲は、
$$0<x<4$$
条件である $x-2<0$ との共通範囲は
$$0<x<2$$
④最後に、$(i)$ と $(ⅱ)$ の範囲を合わせて
$0<x<2$, $4<x・・・(答え)$
分数・少数を含む一次不等式の文章問題を解いてみよう!
最後は、分数や少数を含む「一次不等式の文章問題」を解いていこう。
一次不等式の文章問題は試験で頻繁に出題されるため、攻略できれば大きな得点源となる。
ここで紹介する問題の解き方を知っていれば、分数・少数の文章問題に関して怖いものは無くなるだろう。
- 2つの正の数$x,y$を少数第一位で四捨五入すると、それぞれ$6$と$4$になる。この時、$3x-4y$の値の範囲をそれぞれ求めよ。
- 兄弟合わせて$52$本のペンを持っている。兄が弟に自分が持っているペンのちょうど$\dfrac{1}{3}$をあげてもまだ兄の方が多く、更に3本あげると弟の方が多くなる。兄が初めに持っていたペンの本数を求めよ。
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分数一次不等式の文章問題の解き方|その①
正の数 $x$ を四捨五入すると$6$になることから、$x$の値の範囲は
$$5.5≦x<6.5$$
正の数 $y$ を四捨五入すると$4$になることから、$y$の値の範囲は
$$3.5≦y<4.5$$
すなわち
$$\left\{%
\begin{array}{l}
5.5≦x<6.5・・・Ⓐ\\
3.5≦y<4.5・・・Ⓑ
\end{array}
\right.$$
Ⓐの各辺に $3$ を掛けて
$$16.5≦3x<19.5・・・Ⓒ$$
Ⓑの各辺に $-4$ を掛けて
$$-14≧y>-18・・・※不等号が逆転している$$
$$-18<-4y≦-14・・・Ⓓ$$
ⒸとⒹの値の範囲を合わせると
$$16.5+(-18)<3x+(-4y)<19.5+(-14)$$
$$-1.5<3x-4y<5.5・・・(答え)$$
- 答えの不等号が、$≦$ ではなく $<$ であることに注意!
例えば、右側の $3x-4y<5.5$ について考えてみよう。
中には、$3x-4y≦5.5$ としてしまった人もいるかもですが、それは間違い。以下でそれを証明します。
$$\left\{%
\begin{array}{l}
16.5≦3x<19.5・・・Ⓒ\\
-18<-4y≦-14・・・Ⓓ
\end{array}
\right.$$
Ⓒより $3x<19.5$ 、その両辺に $-4y$ を足すと
$$3x-4y<19.5-4y$$
さらにⒹより $-4y≦-14$、その両辺に $-4y$ を足すと
$$19.5-4y≦19.5-14$$
$$19.5-4y≦5.5$$
以上のことから、次のことが言える
$$3x-4y<19.5-4y≦5.5$$
ゆえに
$$3x-4y<5.5$$
分数一次不等式の文章問題の解き方|その③
兄が初めに持っていた本数を $x$ 本とすると、弟は $52-x$ 本持っていることになる。
次に、兄が弟に自分が持っているペンの $\dfrac{1}{3}$ をあげても、まだ兄の方が多いことから、次の式が成立する。
$$(52-x)+\dfrac{x}{3}<x-\dfrac{x}{3}・・・Ⓐ$$
$$弟の本数 + 貰った本数 < 兄の本数 - あげた本数$$
続いて、更に3本あげると弟の方が多くなることから、次の式が成立する。
$$(52-x)+\dfrac{x}{3}+3<x-\dfrac{x}{3}-3・・・Ⓑ$$
ⒶとⒷを連立方程式としてそれぞれ解くと
$$\left\{%
\begin{array}{l}
(52-x)+\dfrac{x}{3}<x-\dfrac{x}{3}・・・Ⓐ\\
(52-x)+\dfrac{x}{3}+3<x-\dfrac{x}{3}-3・・・Ⓑ
\end{array}
\right.$$
ーⒶより、
$$52<2(x-\dfrac{x}{3})$$
$$26<\dfrac{2x}{3}$$
$$39<x$$
―Ⓑより、
$$52+6>2(x-\dfrac{x}{3})$$
$$29>\dfrac{2x}{3}$$
$$x<43.5$$
ⒶとⒷより、xの値は $39<x<43.5$ を満たす整数であるから、
$40,$ $41,$ $42$
この中で、ぴったり $\dfrac{1}{3}$ に分けて(弟に)あげられるものは
$$42 だけである・・・(答え)$$
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