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二次関数の平行移動問題の解き方は、大きく2つあります。
しかし、計算量を少なく抑えてミスを減らせるという意味では、1つ目(平行移動の公式)を利用する方が圧倒的におススメですよ。
この記事を書いている私は、受験指導歴8年の現役塾講師です。
出身は岩手県で、立命館大学に進学・卒業した後、大手塾講師として200人以上の中高生の勉強相談に答えてきました。
二次関数の平行移動問題|公式を利用する解き方
- 二次関数の平行移動の公式(おさらい)
二次関数 $y=f(x)$ のグラフをx軸方向に $p$、y軸方向に $q$ だけ平行移動して得られるグラフの方程式は、
$$y-q=f(x-p)$$
すなわち
$$y=f(x-p)+q$$
平行移動の公式を簡単に要約すると、「x軸方向に$p$、y軸方向に$q$」と言われたらそれぞれ
$$x→x-p$$
$$y→y-q$$
という形に置き換えて、元の式に代入すればOKという話です。
【例題】
$y=x²+2x+3$ のグラフをx軸方向に $3$、y軸方向に $3$ だけ平行移動したグラフの方程式をもとめよ。
まずは、元の式に代入する値を用意します。
今回は「x軸方向に $3$」と「y軸方向に $3$」なので、$x$ と $y$ の値はそれぞれ
$$x→\color{red}x-3$$
$$y→\color{red}y-3$$
次に、用意した値をもとの式に代入して
$$y=x^2+2x+3$$
$$\color{red}y-3\color{black}=(\color{red}x-3\color{black})^2+2(\color{red}x-3\color{black})+3$$
整理すると
$$y=x²-4x+9\color{red}(答え)$$
二次関数の平行移動問題|頂点に注目する解き方
- 二次関数の頂点を求める公式(おさらい)
$y=ax²+bx+c$ を平方完成すると
$y=a\left(x+\dfrac{b}{2a}\right)^2-\dfrac{b²-4ac}{4a}$ となり、
このとき $\left(-\dfrac{b}{2a},-\dfrac{b²-4ac}{4a}\right)$ が頂点となる。
問題に出てくる二次関数をいちいち平方完成してもいいんですが、ぶっちゃけ、公式を使った方が圧倒的に楽できます。
複雑な手順や計算が要らなくなるので、ケアレスミスも減りますしね!
以下の例題も、公式を使って頂点を求めつつ、問題を解いていきますよ!
【例題】
$y=x²+2x+3$ のグラフをx軸方向に $3$、y軸方向に $3$ だけ平行移動したグラフの方程式をもとめよ。
まずは、平方完成の公式を使って二次関数の頂点を求めていきます。
$y=x²+2x+3$ に対応する $a,b,c$ の値はそれぞれ
$a=1,$ $b=2,$ $c=3$
よって頂点の座標は、平方完成の公式より
$$\left(-\dfrac{b}{2a},-\dfrac{b²-4ac}{4a}\right)$$
$$\left(-\dfrac{2}{2(1)},-\dfrac{(2)^2-4(1)(3)}{4(1)}\right)$$
$$\left(-1,2\right)$$
続いて、二次関数を平行移動していきます。
「x軸方向に$3$、y軸方向に$3$ だけ平行移動…」ということは、二次関数の頂点も同じだけ移動しますよね。
よって、移動後の頂点は
$$移動前:\left(-1,2\right)$$
$$\left(-1\color{red}+3\color{black},2\color{red}+3\color{balck}\right)$$
$$移動後:\left(2,5\right)$$
また、$x^2$ の係数が $a$ で、頂点が $(p,q)$ の二次関数は次のように表せますよね?
$$y=a(x-p)^2+q$$
同様に、$x^2$ の係数が $1$ で、(移動後の)頂点が $\left(2,5\right)$ の二次関数は次のように表せるから
$$y=(x-2)^2+5$$
$$y=x^2-4x+9\color{red}(答え)$$
問題の二次関数が $y=ax²+bx+c$ という形の時は、平行移動の公式を使う解き方をした方が無難でしょう。
- 平行移動問題の解き方|公式vs頂点 の使い分け
- 頂点がすぐ分からない場合→公式の利用
(ex:問題の二次関数が $y=ax^2+bx+c$ といった形のとき) - 頂点がすぐに分かる場合→頂点を利用
(ex:頂点がグラフから読み取れる場合)
二次関数の平行移動問題|練習問題を解いてみよう
最後に平行移動の練習問題を解いて、解き方を頭に定着させましょう。
今回は試験で頻出する、タイプの異なる3つの問題を用意しました。
3つともすべて解ければ、二次関数の平行移動問題はもう怖くありませんよ。
- 二次関数の平行移動問題3つ
- 二次関数 $y=2x^2+4x$ のグラフをx軸方向に $1$、y軸方向に $-2$ だけ平行移動したグラフの方程式を求めよ。
- 二次関数 $y=2x^2$ のグラフをx軸方向に $2$、y軸方向に $-3$ だけ平行移動したグラフを表す関数は $y=ax²+bx+c$ となる。$a,$ $b,$ $c$ に入る定数を求めよ。
- 二次関数 $y=2x^2-6x+1$ を平行移動すると、二次関数 $y=2x^2+10x+17$ にピッタリ重なった。どのように平行移動したのかを答えよ。
練習問題①の解説
頂点がパッと分からない問題では、「二次関数の平行移動の公式」を使うことで素早く解けます。
今回は「x軸方向に $1$」と「y軸方向に $-2$」なので、
$$x→\color{red}x-1$$
$$y→y-(-2)=\color{red}y+2$$
次に、用意した値をもとの式に代入して
$$y=2x^2+4x$$
$$\color{red}y+2\color{black}=2(\color{red}x-1\color{black})^2+4(\color{red}x-1\color{black})$$
整理すると
$$y=2x²-4\color{red}(答え)$$
練習問題②の解説
今回は頂点が $y=2x^2$ の頂点が $(0,0)$ であることが分かるので、「頂点に注目する解き方」を利用する。
平行移動する値は「x軸方向に $2$」と「y軸方向に $-3$」だから、移動後の頂点は
$$(2,-3)$$
これを方程式に表すと
$$y=2(x-2)^2-3$$
展開して
$$y=2(x^2-4x+4)-3$$
$$y=2x^2-8x+5$$
これを $y=ax^2+bx+c$ と比べると
$a=2,$ $b=-8,$ $c=5\color{red}(答え)$
練習問題③の解説
$A$ と $B$ をそれぞれ平方完成して、移動前後の頂点を比較するという解き方もアリ。
しかしそれだと、平方完成する工程がやや手間である。
まずは、$A$ をx軸方向に $p$、y軸方向に $q$ だけ平行移動した結果、$B$とピッタリ重なったと(仮定)する。
すると、平行移動後の$A$の方程式は、$p$ と $q$ と使って次のように表せる。
$$移動前:y=2x^2-6x+1$$
$$移動後:\color{red}y-q\color{black}=2(\color{red}x-p\color{black})^2-6(\color{red}x-p\color{black})+1$$
移動後の式を展開して整理すると
$$y=2x^2+(-4p-6)x+2p^2+6p+1+q$$
また、移動後の$A$は$B$と重なるため、$A$と$B$の「各係数」や「定数項」の値はそれぞれ一致する。
ゆえに以下が成り立つ。
$$-4p-6=10・・・①$$
$$2p^2+6p+1+q=17・・・②$$
$①$より、
$$\color{red}p=-4$$
$p=-4$ だから、$②$より
$$2p^2+6p+1+q=17$$
$$2(-4)^2+6(-4)+1+q=17$$
$$\color{red}q=8$$
したがって、x軸方向に $\color{red}-4$、y軸方向に$\color{red}8$ だけ平行移動すればよい。
以上で今日の授業は終了!
さて、今回学んだ「二次関数の平行移動の公式」がどういうものか、何も見ずに説明でるかな?
30秒以内に思い出せないのなら、以下リンクから再度復習してみると良いでしょう。
ありがとうございました。