
自分は情報学を学んでいる学生だが、先日友人に「情報学ってなに?」と聞かれた際にスムーズに答えられなかったため、改めて「情報学」の定義を調べてみた。
「情報学」を定義する
まずは一般的な定義から確認する。「大学教育の分野別質保証のための教育課程編成上の参照基準(日本学術会議)」によると、情報学の定義は次の通りである。
情報学は、情報によって世界に意味と秩序をもたらすとともに社会的価値を創造することを目的とし、情報の生成・探索・表現・蓄積・管理・認識・分析・変換・伝達に関わる原理と技術を探求する学問である。
情報学は、諸科学との境界において新たな応用分野を恒常的に生み出しているが、以上の定義に従えば、これらの応用分野も情報学に含まれるだろう。しかし、ひとまず現時点においては、情報学の専門家となるためには、情報学の最も基本的な中核部分を体系的に学ぶことがきわめて重要である。なぜなら、計算理論から社会情報学に至る学問分野の流れは、決して一つ一つが独立ではなく、互いに密接に関連しているからである。よって本参照基準では、社会情報学までを含む最も基本的な中核部分に焦点をしぼって情報学を記述することにする。すなわち、本参照基準が定義する情報学は、応用分野までも含む広義の情報学ではなく、情報学の中核部分である。
応用情報学とは?
情報学のように、多くの学問領域で活用されるような普遍的な原理や技術を提供する学問のことを「メタサイエンス」といい、情報学の他に数学などがそれに該当する。
- ウェブ情報学
- ゲーム情報学
- サービス情報学
- 人文情報学
- 医療情報学
- 博物館情報学
- 数理情報学
- 計量情報学 etc....
情報学の中核(狭義の情報学)の体系
中核部分に限っても情報学は多くの分野から成っている。日本学術会議では、情報学の中核を「情報学に固有の知識体系」として、次の5つに分類している。
- ア)情報一般の原理
- イ)コンピュータで処理される情報の原理
- ウ)情報を扱う機械および機構を設計し実現するための技術
- エ)情報を扱う人間社会に関する理解
- オ)社会において情報を扱うシステムを構築し活用するための技術・制度・組織
本当ならば、ア~オの内容についてさらに詳しく解説したいところだが、量が多くなりすぎるために割愛する。これ以上詳しく知りたい人は、以下のリンクから資料を確認してほしい。PDFの15ページ目あたりに、ア~オの内容が詳しく説明されている。
》大学教育の分野別質保証のための教育課程編成上の参照基準:情報学分野
余談だが、情報分野の世界的な標準カリキュラムとして有名なものに「Computing Curricula」というものがある。(気になる方は調べてみてほしい)日本では情報処理学会により、Computing Curriculaに基づいた「Jo7」と呼ばれるカリキュラム標準が策定されている。
Jo7はCS(computer science, 計算機科学)、CE(computer engineering, 計算機工学)、IS(information system, 情報システム)、SE(software engineering, ソフトウェア工学)、IT(information technology, 情報技術)という、計5つの分野から成り立っており、上述の日本学術会議の分類とはそれぞれ次のように対応する。
- イーCSの一部に対応
- ウーCSの一部とCEに対応
- オーIS、SE、ITに対応